【コラム】大切な試合に向けたイメージトレーニング

In コラム, 未分類 by g.kobayashi@highclass-inc.comLeave a Comment

皆さんはスポーツ場面でどのようにイメージを活用していますか?
ジュニア・ユース世代の選手の皆さんはこれから大切な試合を控えている方も少なくないと思います。
今回はイメージについてご紹介します。

イメージとは?

イメージとは、心像と言います。つまり、「人が心の中に描く絵のようなもの」を指します(長谷川, 1991)。
また、イメージトレーニングは、「頭の中で運動や技術や動作を思い浮かべ、 動作のタイミングや順序、実際の運動場面で起こりうる状況を想定して、 あらかじめリハーサルを行なうことで注意集中状態の再現性を高め、ピークパフォーマンスを導く方法」と定義されています(田嶌, 1992).

イメージトレーニングの目的

イメージトレーニングの目的は、大きく分けて2つあります(高妻, 2014)。

新しい技術や戦術を新たに身につける
すでに身につけた技術を試合で発揮する

簡単に言えば、うまくなるため!試合でパフォーマンス発揮するため!ということになります。


イメージの種類

イメージトレーニングには、内的イメージおよび外的イメージがあります。

内的イメージ:実際にプレーしているかのように、自身の目を通じてイメージしたプレーを見ること

外的イメージ:ビデオで見ているかのように、自分自身以外でイメージしたプレーを見ること

どちらのイメージも重要で、目的に沿ってうまく使い分けることが大切です。


イメージトレーニングの方法

①目を閉じる
②成功イメージを作る
③そのイメージが達成された時にどのようなポジティブ感情を喚起するかイメージする

また、実際に頭で描いたイメージを①スローモーション、②50%のスピード、③フルスピード
で身体を動かすことでスポーツ場面に応用しやすいと思います。
さらに、トップレベルの選手の映像やプレーを見て、イメージトレーニングに活用することも有効的です。


イメージトレーニングのポイント

また、イメージトレーニングのポイントは、「統御可能性」と「鮮明性」があります。
統御可能性:イメージをコントロールすること
例えば、失敗イメージが頭の中に出てくることもあると思いますが、イメージは自由ですので、イメージをコントロールし、
いかに成功イメージに転換していくかが重要になります。

鮮明性:描いたイメージが鮮明で現実と同様にはっきりしている程度
イメージも、実際に行ってみると抽象的で不鮮明なイメージになることも少なるありません。
そのため、繰り返しイメージトレーニングを行うことで現実と遜色ない鮮明なイメージができることも重要になります。

また、 The PETTLEP Model of Imageryというモデルがあります(Holmes & Collons, 2001)。
これはイメージトレーニングのポイントになりますが、下記のようなポイントの頭文字をとった名称になります。

Physical:身体面(身体の状態・感覚:身体的リラックス・緊張など)
Environment:環境(現実的であり環境に基づくと良い)
Task:課題(スキルレベルに合わせたイメージ)
Timing:タイミング(実際の動きとイメージのタイミング合致させる)
Learning:学習(スキルの習得段階にイメージを合わせる)
Emotion:感情(実際のパフォーマンス場面での感情もイメージに組み込む)
Perspective:内的・外的イメージ

イメージトレーニングは、多くの研究が蓄積され、実施しないよりも実施した方がはるかに効果的である結果が得られています。
例えば、ピアノを題材にした研究では「実際の練習」と「練習の内容のイメージ」を比較したところ、練習内容のイメージだけでも、実際の練習の50%の効果があったという結果も存在します。

これらには、人間の脳の構造が大きく影響しており、人間の脳は「現実」と「イメージ」を区別することができません。
そのため、イメージトレーニングを繰り返すだけでも脳は「経験」しています。
当然、スポーツ場面で考えると、イメージトレーニングで筋肉等を見つけることは難しいですが、イメージトレーニングを実施することで、筋肉を動こかす以外は、新しい技術の習得や試合での実力発揮に役立つのです。

実際、元サッカー日本代表の中村俊輔選手は、サッカーノートを活用し、イメージトレーニングを行っていたとメディア等でも
取り上げられていました。自分がしたいイメージを蓄積することで、脳は経験し本番でもノートに書いたイメージ通りプレーができるのです。

皆さんも是非実践してもて下さい!!

<参考文献>

  1. 長谷川浩一. (1991). 心像の鮮明性尺度の作成に関する研究.
  2. 田嶌誠一. (1992). イメージ体験の心理学.
  3. Holmes, P. S., & Collins, D. J. (2001). The PETTLEP approach to motor imagery: A functional equivalence model for sport psychologists. Journal of Applied Sport Psychology, 13(1), 60–83.
  4. 高妻容一. (2014). 今すぐ使えるメンタルトレーニング選手用. ベースボールマガジン社.

 

スポーツメンタルトレーニング指導士/Ph.D
小林玄樹

Leave a Comment